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私が発達障害のお子さんとの臨床で行っていることを紹介していきます。
コミュニケーションをとることが難しい場合、私はおもちゃを使います。
最初に出すのは、大抵「トンカチぞうさん」というおもちゃです。
ほとんどの子どもは、穴に入ったボールを押そうとします。
ボールはぞうの鼻から出てきますが、出てきたボールをすぐ穴に入れて再びボー
ルを押します。
入れる→押す(出す)の繰り返しを一人で行います。
一人遊びで完結している子どもに、どうやったら気づいてもらえるか?
ぞうの鼻から出てくるボールを取ってしまえばいいのです。
今まで、おもちゃしか見ていなかった子が、そこで初めて人(私)に気づくのです。
いささか、乱暴にみえますが一応「ごめんね」と言いながら、ボールを全部手中に
収めます。
子どもは、私が持っているボールがないと繰り返し作業ができないので、
ボールはどうしても必要なのです。
そこで、私は子どもに『チョーダイ』の身ぶりを要求します。
身ぶりができないなら、できなくてもいいのです。
私が手を添えてその動作をやってくれれば、交渉成立です。
子どもは、無事ボールをゲットできる。
私は子どもと共同作業ができる。
互いの目的は異なりますが、その場面で共同行為を行うことで
互いの利害が一致し、双方にとってwin-winの対等な関係が成立します。
子どもにとっては、私という人間がそこからその時、その場の運命共同体となる
訳です。
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